Kininaru Topics 01

建物から広がる
ストーリーを
描くこと。

「客室にテレビを置かない」ホテルが札幌にあるのをご存知ですか?それが、「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」です。この国内初の高層ハイブリッド木造ホテルでは、1,200㎥を超える木材を使用。その8割以上が北海道産の木材となっています。なぜ、あえてテレビを置かないのか、その理由は「北海道を体感する」というコンセプトにありました。

三菱地所設計は、このコンセプトをカタチにするために建物からホテル運営まで、北海道産の建材や食材の活用にこだわった究極の地産地消をめざしてホテルをデザイン。RC造の地上3〜6階の客室は、北海道産トドマツで開発した「MIデッキ」を使い、本物の木の温もりを感じられる天井に。純木造の地上9〜11階は、北海道産トドマツで作られたCLTの床と、高耐力枠組壁(地震や風などの外力に強い壁)で構成。これにより、柱や梁をなくしてスッキリとした客室を実現。木造のキャビンのような心地よい空間を創造しています。

部屋には、ホテルの床に用いたCLTの端材から作った家具をレイアウト。また端材から新開発したオリジナルウッドスピーカーとレコードプレイヤーが用意されています。北海道産木材の温もりに包まれた空間で、ゆっくりと音楽を聴きながら過ごすことで北海道を体感して欲しい。そんな思いが、テレビを置かない客室へと繋がっています。

このようなホテルが生まれたのは、三菱地所設計ならではの設計思想があるから。それは、単に建物の設計をするのではなく、「与えられた土地の何を活かし、どんな建物を造るべきか」、「建物を利用する人やその街にどんな豊かさをもたらすことができるか」を考え抜くことです。様々なものと向き合いながら、その土地にあるべき建物と、そこから広がるストーリーを描き出す。その姿勢は、人と街の未来の風景を生み出します。

三菱地所設計 緒方 祐磨
Voice

『街に木材を利用すること』を目的とするのではなく、持続可能な社会を実現するため、そして木質空間を通して人びとの生活をより豊かなものにするための手段として木材をどのように使うか考えていきます。さらなる木の可能性の追求などを通して、木材利用の幅を広げ、社会変化に合わせた適材適所な木材利用を実現するデザインを提案していきます。

三菱地所設計 緒方 祐磨

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