Kininaru Topics 05

丈夫で軽く、
熱にも強い。
木材の可能性を
広げる
CLT。

CLT(Cross Laminated Timber)は、木板の繊維の向きを90度ずつ変え、クロスさせて積層接着した大判パネルの建材。通常の一枚板に比べて厚みがあり、建築物の構造材や、土木用材、家具などの幅広い分野で使われ、近年注目を浴びています。条件によっては鉄骨やコンクリートを上回る強度の耐震性・耐久性があり、また熱伝導率が低いので熱を通しにくく、耐火性や耐熱性にも優れた建材です。

床材にCLTを使用した日本初の高層建築「PARK WOOD 高森」。エントランスの壁面も木質化し、「PARK WOOD」の名にふさわしい木のぬくもりあふれるデザインに。

建築現場における作業効率化を可能にするのもCLTの特徴です。同じ体積の場合、コンクリートの1/5ほどの軽さ※1のCLTを躯体に使えば総重量が軽くなるので、基礎工事の負荷軽減になります。またコンクリートや漆喰のように水分を含まないので養生期間が不要となり、工期短縮にもなります。日本で初めてCLTを構造材(床材)として使用した高層建築物「PARK WOOD 高森」では、鉄筋コンクリート造と比べて、約3か月程度の工期短縮※2を実現しています。
※1 出展元:一般社団法人 日本CLT協会
※2 「PARK WOOD 高森」をRC造で施工した場合の想定工期は約14か月(三菱地所の試算に基づく)

新素材としてのCLTの可能性を、構造の異なるパビリオン棟・屋内展示棟の2棟で表現した「CLT PARK HARUMI」

大きくせり出した屋内展示棟の三角形屋根

設計やデザインの可能性が広がるのも、CLTの魅力です。製造された大判パネルから必要なサイズを切り出すので、曲線にする・彫り込みを入れるなど、形状に柔軟性を持たせることが可能です。構造体として使えば柱が不要となるので、階層ごとに空間の形や天井の高さを変えるなど、特徴的な構造を造り出すことができます。そのショーケースとなったのが、国産材CLTの認知向上のために作られた展示施設「CLT PARK HARUMI」。CLTパネルの強度や柔軟性を活かし、大きくせり出した三角形の屋根や天井が高いダイナミックな空間など、建物全体で先鋭的なデザインを実現しています。

CLTの製造・販売を行うMEC Industryでは、CLTを活かした商品開発も行なっています。そのひとつが、「(仮称)WOOD FLOOR UNIT3.2」というOAフロア※3。従来のスチールパネルの上にカーペット等を敷く仕上げに対し、CLTの木目を活かしたパネルにすることで木の風合いやぬくもりのある仕上げを実現しながら、炭素固定効果にも繋がります。オフィスや商業施設等の木質化をもっと身近にして、都市空間に木を広める製品です。
※3 床下に電源や通信用の配線、さらに空調設備などの機器を収納することのできるフロア

MEC Industry 営業部 資材営業課長 福田 眞
Voice

CLTは、その強度、軽量性、サステナビリティ、工期短縮、そしてデザインの自由度など、様々な点で建築における可能性を秘めています。都市と地方の協調による活性化や、環境負荷の低減にも貢献が期待できます。CLTを通じ、国産木材の新たな価値創造に取り組んでいきたいです。

MEC Industry 営業部 資材営業課長 福田 眞

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