Kininaru Topics 12

日本の森を
未来へ繫げる、
ロールモデル。

環境破壊や人権侵害など、様々な社会問題につながる可能性がある違法伐採。三菱地所レジデンスでは違法伐採の木材を使わないために、2016年から「木材がどこでどうやって作られたのかを追跡できるトレーサビリティ」の向上につながる、国産材や認証材を積極的に使用してきました。

2021年には、地球環境を守り、未来につながる木材利用の推進を目指す「木の守PROJECT」をスタート。ファーストステップとして、由来が明確ではない非認証材の使用割合が80%を超える輸入型枠合板について、認証材の利用によってトレーサビリティを確保する取り組みを開始しました。建設現場まで非認証材が混じらない仕組みを、第三者機関と協力し国内初となる型枠材の認証スキームを構築。認証を取得した型枠コンクリートパネルを新築マンションに採用しながら、認証スキームの普及を推進してきました。

当社事例

そして今、積極的に行っているのが、国産材を軸とした新しいサプライチェーンを構築するロールモデルづくりです。その1つは、「植林や育林など森の管理に必要な費用」を林業者に直接届けることで、森林循環を促すこと。従来のように施工会社を通じて木材を調達するのではなく、林業関係者から直接木を指定して購入するスキームを、埼玉県飯能市の林業関係者とともに具体化しました。もう1つは、再造林が約束されている森からの材を同一地域内で製品化することでトレーサビリティを確保すること。これは、秋田県大館市・北鹿地域林業成長産業化協議会と連携している取り組みで、2025年8月に「大館市産森林認証材等の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結しました。

(左から)
大館市 副市長 北林 武彦 氏
三菱地所レジデンス株式会社 代表取締役 社長執行役員 
宮島 正治
北鹿地域林業成長産業化協議会 会長 ・大館市長 
石田 健佑 氏

協定締結の決め手となったのが、再造林や人権・生物多様性への配慮が確認できる木材の活用を進めたいと考える三菱地所レジデンスの方針と、認証林の拡大を積極的に進める大館市の施策が合致したことです。また、高品質材が北鹿地域という同一地域で生産・加工・流通されており、しかも市が中心となって地域の林業関係者と協調的な取り組みを行なっている点も魅力でした。協定により、「木材の安定供給体制の構築とトレーサビリティの確保」、「地域林業・木材産業の振興と木材利用普及活動」などに取り組むこととしています。

外観完成予想CG

「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」(サウス2027年、ノース2028年完成予定)

スカイビューラウンジ(サウス)完成予想CG
コンフォートラウンジ(サウス)完成予想CG

共用部の家具の一部に北鹿地域産の木材を使用

その最初の一歩として、北鹿地域産の木材を製材加工した家具が「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」(サウス2027年、ノース2028年完成予定)の共用部の一部に採用されました。「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」は2棟からなるタワーマンション。デザイン監修を務めた建築家・隈研吾氏は、建築と自然は溶け合うものという本来あるべき日本の建築の姿を求め、「大地から生える二本の大樹」を外観デザインコンセプトとしました。当然のことながら外観デザインには木のエッセンスを感じるデザインがなされており、また内装デザインについても木の温もりを感じられるよう木材を多用しています。そんな中で、大館市との協定が結ばれ、共用部の家具の一部に北鹿地域産の木材が使われることになったのです。
このロールモデルは、木を「伐って、使って、植えて、育てる」という、まさに「循環の輪」の創出。新築分譲マンションという住まいづくりをしながら、森林循環を促すことにもつながります。ただ、一社だけでは限りがあります。そこで三菱地所レジデンスでは、「誰でもできるロールモデル」としてこの仕組みを業界全体に広げ、日本の森を未来へつなげていきたいと考えています。

三菱地所 サステナビリティ推進部 小林 英樹
Voice

大館市との連携により、由来が明確で再造林にも配慮された木材活用に取り組んでいます。生き物や人権などに配慮したこの取り組みを物件に導入し、お客様に木のぬくもりと背景にある想いを体感いただける、そんなザ・パークハウスを今後も広げていきたいと考えています。地域の皆さんと連携し「日本の森を未来へつなげる」木材活用に挑戦し続けます。

左) 三菱地所レジデンス 経営企画部サステナビリティ推進グループ 石川 博明
右) 三菱地所レジデンス 第二開発部開発第一グループ 原 喬弘

kininaru INTERVIEW

大館市は、どのような思いから今回の協定締結に至ったのか。また三菱地所レジデンスに期待することや、協定により今後、大館市の林業がどのように変わることを思い描いているのか。協定締結に関わった大館市の加賀谷 洋昌主任に話を聞いた。

大館市産業部林政課 木材産業係主任
加賀谷 洋昌 氏

高い弾力性と美しい木目が特長の秋田スギを使用した『大館曲げわっぱ』

大館市の名産品であり、国の伝統的工芸品の指定を受けている『大館曲げわっぱ』。その素材として使われる秋田スギは高い弾力性と美しい木目が特長で、江戸時代の初期から造船や築城に使われてきました。そんな秋田スギの主要産地である大館市が、なぜ認証材の推進に積極的に取り組むようになったのでしょうか。
「天然秋田杉が生えている山のほとんどは国が管理している国有林ですが、生物多様性への配慮や環境保全の観点から平成25年に伐採が禁止されました。そうなると、それまで高値で販売されていた樹齢200年とかの天然秋田杉が流通しなくなります。その代わりとなるのが民有林のスギですが、樹齢50年、60年で、他の産地のスギと変わらない。そこで差別化を図るために、再造林が担保されていたり、生物多様性に配慮されていたり、トレーサビリティが確保できる森林認証を取得しよう、ということになったんです」

森林がSGEC認証に従って管理していることを示す看板

森林認証林施業現場等視察ツアーの様子

国有林の伐採禁止が認証材推進のきっかけとなったが、一方で当時の民有林の状況も認証材推進に拍車をかけた。
「当時、民有林では木を伐った後の再造林が、まったく進んでいませんでした。このままでは健全な森林が失われてしまうという危機的な状況にあったんです。そこで、地域で再造林や生物多様性に配慮した森林経営、森林認証を推進することにしました。併せて、地域の充実した森林資源の最大活用と資源循環の確立を目指すため、市が旗振り役となって、平成29年に『大館北秋田地域林業成長産業化協議会(現 北鹿地域林業成長産業化協議会)』を設立しました。」

協議会設立後、森林認証制度に関する勉強会をはじめ、認証材を推進している自治体への視察などを行い、令和4年には林野庁補助事業『建築用木材供給強化促進事業のうち森林認証材の需要拡大』に採択され、翌年には森林認証を取得した。そしてちょうどこのタイミングで開かれた一般社団法人日本ウッドデザイン協会主催のビジネスマッチング部会で、三菱地所レジデンスとの協定締結につながる出会いがあった。
「この部会で、森林認証取得を目指した経緯や思い、いかに認証材の需要拡大をしていくかという話をしました。それを聞いた三菱地所レジデンスの方が、興味を示してくださって、意見交換するようになりました。立場は違えど、認証材の拡大やトレーサビリティの普及を通じた森林の健全な育成と、お互いに向いている方向は同じでしたので、割とスムーズに話は進みました。実際は、認証材の安定した供給や、認証材を活用した製品づくりなど、私たちがいかに三菱地所レジデンスさんのオーダーに対応していくかが課題で、協議会内での根回しが大変でした」 

このような経緯を経て、三菱地所レジデンスの『認証材を軸とした新しいサプライチェーンを構築するロールモデル』のひとつとして、2025年8月『大館市産森林認証材等の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定』が締結されました。この協定締結によって、大館市の林業にどのような変化をもたらしたのでしょうか。(2026年1月時点)
「民間企業がここまで深く地域に入り込み、いろんな意見やアドバイスをもらえたことが非常に勉強になりました。また、林業・木材産業に携わっている人たちのモチベーショアップにもつながっています。今までは自分たちの製品がどこで、どのように使われているのか見えませんでしたが、それが見えるようになったのも大きいですね。これらの経験をふまえて、認証材の安定した供給体制の構築と、製品づくりをさらに加速させていければと思います」

今回の協定締結のプレスリリースを出したところ、全国の様々な自治体から多くの問い合わせが来たという。
「三菱地所レジデンスさんは、今回のロールモデルを業界全体に広げていきたいという思いがあります。私たちとしても、大館市の認証材だけでは全国の需要をまかなうことはできませんので、全国の自治体や林業関係者に水平展開していきたいと考えています。今は、協定や他の取り組みでいっぱいいっぱいですが、少し落ち着いたら、経験を生かして仲間を増やしていければと思っています」

民間企業と自治体による新たな取り組み。それは、ひとつの地域で終わることなく、様々な地域へと広がっていく可能性を秘めている。そして、それが広がっていくほどに、日本の森はいつまでも健全に育っていくはずだ。

※掲載の各完成予想CGは、計画段階の図面を基に描き起こしたもので実際とは異なります。雨樋、エアコン室外機、給湯器等再現していない設備機器等があります。植栽は特定の季節や入居時の状態を想定して描いたものではありません。※スカイビューラウンジ完成予想CGの眺望は、現地32階相当の高さより南西方面を撮影(2024年2月)した写真を合成加工したものです。眺望は将来的に保証されるものではありません。※掲載の共用部の家具・照明器具・調度品等は、実際に設置されるものと異なる場合があります。また、共用部・サービス等の内容は2024年9月時点計画中のもので、今後変更になる場合があります。※共用施設は予約制・有料となる施設がございます。ご利用時間・方法等の詳細は管理規約集をご確認ください。※本物件には公開空地が設けられており、居住者以外の第三者も利用または通行できます。

キになる記事一覧