Wood &
Sustainability

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カーボン
ニュートラルに
貢献する木の活用。

CO2 (二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスの排出量と同じ量を吸収することでプラスマイナスゼロにする、カーボンニュートラル。その実現に向けて、様々な取り組みが行われています。石油などの化石燃料に代わる、太陽光発電や風力発電による代替エネルギーの活用。リユースやリサイクルによる、資源の再活用など。なかでも、カーボンニュートラルに貢献する手段のひとつといえるのが木の活用です。

木は光合成の際に大気中のCO2を吸い、C(炭素)として蓄え、CO2を木の中に閉じ込めてしまいます。この状態は、建築物や内装の木材として使われても続き、建物自体がなくなるまで有効といわれています。つまり、Cが固定された木材を使えば、CO2排出量の抑制につながるわけです。

木を使わないと、
カーボンニュートラルは進まない?

木がCO2を吸収するなら、わざわざ森の木を伐って使わなくてもいいのでは?と、思う人がいるかもしれません。でも、我が国の森林事情を考えると、そう簡単ではないことがわかります。木の多くは樹齢40年を過ぎると、CO2の吸収率が低下するため、一定のサイクルで木を伐って・使い、新しい木を植え・育て、森を循環させていくことが重要ですが、日本の国土の2/3を占める森林の約40%である人工林は、その約60%が50年生を超えて成熟し、利用期を迎えています。

これは戦後に造林した木が木材として使えるようになった後、オイルショックやバブル景気崩壊後の景気後退等により、木材の需要が減少していたことが原因です。輸入材の増加がこの状況に追い打ちをかけ、一時期国産材自給率は約20%まで低下していました。現在では政府や企業の取り組みにより約40%まで回復しましたが、継続して森林を適正に管理しつつ、林業・木材産業の持続性を高めながら成長発展させることが大切です。国内の人口減少が進み、中長期的には住宅需要の減少が見込まれる中、住宅分野における国産材利用に加えて、これまで木材があまり使われてこなかった中高層建築物や非住宅建築物などでの新たな木材需要の創出が期待されています。

※参考:林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」 令和7年5月

正しく木を使い、新たな木を育てていけば、カーボンニュートラルは、もっともっと進むはず。しかも環境面だけではなく、林業や地方活性化などの経済面、災害抑止という国土保全面でも、いい効果をもたらしてくれます。