日経BP「中大規模
木造・木質建築2026」
でご紹介頂きました
WOOD
INNOVATION
― 木で創る、木で変える ―
グループ6社連携で
木造・木質化普及へ
三菱地所グループでは、社会課題の解決と持続可能な事業の確立を目指し、『WOOD INNOVATION』を旗印に、グループ6社連携で木造・木質化事業を推進している。具体的な取り組みを、三菱地所と三菱地所設計のキーパーソンに聞いた。

各社の強みを生かし
木造・木質化事業を推進
三菱地所グループは『WOOD INNOVATION』を掲げ、2016年から都市と建築の木造・木質化事業を推進している。
「当社が24年5月に公表した『長期経営計画2030』では、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略を両輪に据えた経営の実践を目標としていますが、木造・木質化事業はまさにそれを体現するものです。積極的な木材の活用は、日本の大きな課題であるカーボンニュートラルの実現、地域林業の活性化、建築物ライフサイクル全体での環境負荷低減等に貢献します。都市部での木材活用が期待をされる中、私たちは中高層・非住宅建築分野を成長領域と位置づけ、グループ連携しながら事業を推進していきます」。三菱地所 住宅業務企画部 木造木質化事業推進室長の西村 剛はそう語る。
左) 三菱地所 住宅業務企画部 木造木質化事業推進室長 西村 剛
右) 三菱地所設計 建築設計二部 アーキテクト 緒方 祐磨
木造・木質化に取り組む企業は珍しくないが、三菱地所グループの最大の特徴は、木材の調達から企画、設計、施工、竣工後の運営までを一貫してつなぐ基盤を有している点にある。三菱地所、三菱地所レジデンスは事業全体の企画・開発を行い、三菱地所設計は豊富な技術開発を基に、意匠性と構造性能を両立させた多様なプランを発案する。三菱地所ホームは、これまでの注文住宅事業の経験を活かし、企業などの土地所有者からの設計施工を請負う際、積極的に木造・木質化を提案。三菱地所ウッドビルドは木材調達から木造化の設計施工サポートを行う木構造サブコンへ進化しつつあり、さらに、20年に設立されたMEC Industryが、高い強度と寸法安定性、断熱性を備えたCLTパネル製材の製造から販売までを手掛け、鹿児島県を拠点とする工場では、生産ラインで地域木材を使用することで地産地消を支えている。この一貫体制が同グループに競争優位性をもたらしている。
(仮称)天神1-7計画
●事業者:三菱地所 ●設計:三菱地所設計
●施工:大林組 ●外装材調達・加工:MEC Industry
具体的なプロジェクトとしては、例えば、福岡県福岡市で進む『(仮称)天神1-7計画』がある。商業施設跡地を複合ビルへと建て替えるプロジェクトで、地元九州産木材で製造するCLTパネルを約450㎥、ルーバーとして使用。有機的に配列することで日射量を最大約40%削減し、隣接する建物からの視線の制御にも貢献する。
また、東京都の有楽町駅前では、有楽町ビルと新有楽町ビルの跡地で進む、新ビルを建設するまでの暫定プロジェクト『YURAKUCHO PARK』でも、主要構造にCLTを採用した木造建築が計画されており、乾式接合による短工期施工や、将来の移設可能性を見据えた設計が特徴となっている。
YURAKUCHO PARK
●事業者:三菱地所 ●設計:三菱地所設計 ●施工:大成建設
●材料調達・加工・木部施工:三菱地所ウッドビルド
※本プロジェクトは林野庁補助事業「CLT活用建築物等実証事業」に採択されています。

汎用性の高いオフィスの
プロトタイプを実現
東京都中央区で進む『(仮称)中央区八丁堀一丁目計画』は、三菱地所のコンパクトオフィスシリーズ『CIRCLES』の木造・木質化の第1号案件だ。「このプロジェクトでは、“住まうように働く”を空間コンセプトとし、汎用性を追求することで、各プロジェクトに応じた適材適所の木造・木質化を実現し、無理のない形で持続可能な社会に寄与するプロトタイプとなる計画を目指しています」と三菱地所設計 建築設計二部でアーキテクトを務める緒方祐磨は語る。例えば、柱や大梁に採用される技術は鉄骨造としつつ、耐火被覆を木質化しているため、設計者を選ばない。また一部木造化する梁も鉄骨と一体的な建方が可能な納まりとして、建設の効率化を図っている。構造は、柱と大梁を鉄骨+木質耐火被覆とし、小梁を木造とするハイブリッド。これに加えて、床・天井・軒など5つの要素技術を階ごとに異なる組み合わせで配置することで、選択性の高い、多様な木質化空間をつくり出している。
(仮称)中央区八丁堀一丁目計画
●事業者:三菱地所 ●設計:三菱地所設計 ●施工:若築建築
●材料調達 ・ 加工・木部施工:三菱地所ウッドビルド、 MEC Industry
「多様な働き方に応えながら、求められる木造・木質化のあり方の把握も進めていきます。オフィスの木造・木質化というとモニュメンタル(記念碑的)なものが想起されがちで、『木造・木質化に“挑戦”』というような表現を耳にすることもありますが、木造・木質化普及のために、まずは社会になじむオフィスの実現を目指します」(緒方)
三菱地所グループにとって、森林そして木材は「不動産に付加価値を与えるもの」だと西村は言う。「当グループがお客様から適正な対価を得れば、それを還元し、森林の経済循環を回すことができます。そのためにも、継続的な事業として森林と共に発展することを目指します」(西村)三菱地所グループは今後も、ビジネスと課題解決の両側面から、持続可能な社会の実現に向けて責務を果たしていく。
引用出典:日経アーキテクチュア同梱別冊特別版「中大規模木造・木質建築2026「木」~moku~